カンボジアの平和の日とは
「平和の日」(Peace Day / ទិវាសន្តិភាពនៅកម្ពុជា)は、毎年12月29日に祝われるカンボジアの国定祝日です。1998年12月29日にカンボジアの内戦が完全に終結したことを記念する日で、約30年にわたる紛争と内戦を乗り越えた平和の尊さを国民全体で確認し合う重要な祝日です。2024年に国定祝日として制定されました。
平和の日の歴史的背景
カンボジアの平和への道のりには、長く苦しい歴史があります。
- ポル・ポト政権の支配:1975年にポル・ポト政権がカンボジアを支配し、約4年間で推定100万人が虐殺・餓死・強制労働により命を落としました。1979年にベトナム軍の侵攻によりポル・ポト政権は崩壊しましたが、その後もポル・ポトと彼が率いる武装組織クメール・ルージュはカンボジア西部にあるタイ国境付近のジャングルを拠点にベトナム軍に抵抗しました。
- 長期化した内戦:ポル・ポトたちは、同盟関係にあった中国、戦争に負けたことでベトナムに報復したいアメリカ、ベトナム軍の侵略を防ぐ必要に迫られていた隣国タイから武器や資金援助を受け、十年以上にわたってベトナム軍と国内で戦争(内戦)を続けました。
- 内戦の終結:1998年4月にポル・ポトが病気で死去すると、指導者を失った武装組織クメール・ルージュは急速に弱体化しました。その後、クメール・ルージュの拠点が次々と崩壊し、1998年12月29日に最後の拠点が消滅しました。これによりポル・ポト政権の支配から始まった約30年にわたる戦乱にようやく終止符が打たれ、カンボジアは本格的な復興と発展の道を歩み始めました。
- 国定祝日の制定:平和の日はもともと2022年12月29日に制定された「ウィン・ウィン政策の日」という祝日でしたが、この時点では国定祝日ではありませんでした。ウィン・ウィン政策とは、フン・セン前首相が主導した和平政策で、クメール・ルージュの残存勢力に対して武力で制圧するのではなく、投降すれば身分と生活を保障するという条件を提示し、内戦終結に大きく貢献した取り組みです。内戦終結25周年にあたる2023年の式典を機に、フン・マネット現首相が2024年1月1日付けの省令で「平和の日」として国定祝日に格上げしました。
平和の日の過ごし方
平和の日には、全国各地でさまざまな行事が催されます。
- 政府主催の式典:プノンペンをはじめ各地で政府主催の記念式典が行われます。内戦の犠牲者への追悼と平和への誓いが新たにされます。
- 慰霊と祈り:内戦で亡くなった犠牲者を悼む祈りが寺院や各地の慰霊碑で行われます。
- 教育・啓発活動:学校や大学では内戦の歴史と平和の大切さについて学ぶ特別授業が行われます。若い世代が歴史を正しく理解し、平和を守る意識を育む機会となっています。
- ウィン・ウィン記念碑:ウィン・ウィン記念碑(Win-Win Memorial / វិមានឈ្នះ-ឈ្នះ)はプノンペン郊外に建つ高さ54メートルの記念碑で、2018年12月31日に竣工しました。ウィン・ウィン政策による内戦終結を記念して建てられたもので、平和の日には毎年大規模な記念式典が開催されます。大理石と近代クメール様式を取り入れたデザインが特徴で、一般公開されています。
観光・滞在時のアドバイス
平和の日の時期にカンボジアを訪れる際、知っておくと便利なポイントをまとめました。
- トゥール・スレン虐殺博物館:プノンペンにあるトゥール・スレン虐殺博物館は、かつてポル・ポト政権下で政治犯が収容された施設です。平和の日に合わせて訪れることで、カンボジアの歴史をより深く理解できます。
- 公共サービスの確認:国定祝日にあたるため、官公庁や学校は休みとなります。手続きが必要な場合は事前に済ませておくことをおすすめします。
- 12月のカンボジア観光:12月は乾季のシーズンで、気候が穏やかで過ごしやすく観光に最適な時期です。アンコールワットなどの遺跡見学にもおすすめのシーズンです。

