ネパールのイード・アル=アドハーとは
「イード・アル=アドハー」(Eid al-Adha / ईद उल-अधा)は、イスラム暦ズル・ヒッジャ月10日に祝われるネパールの国定祝日です。「イード」は「祭り・祝い」、「アル」はTheのような冠詞、「アドハー」はアラビア語で「犠牲・いけにえ」を意味し、「犠牲祭」とも呼ばれます。イード・アル=フィトル(断食明け大祭)と並ぶ祭日のひとつで、いけにえにした家畜を神に捧げる儀式を行います。イスラム暦に基づくため毎年西暦(グレゴリオ暦)上の日程は異なります。ネパールは2008年にイード・アル=アドハーを国定祝日として制定しています。
イード・アル=アドハーの歴史的背景
イード・アル=アドハーはイスラム教の重要な伝説に由来します。
- イブラヒムの伝説:イブラヒム(アブラハム)はイスラム教において最も重要な預言者のひとりで、アッラー(神)への絶対的な信仰で知られています。アッラーはイブラヒムの信仰を試すために、最愛の息子イスマーイールを犠牲として捧げるよう命じました。イブラヒムがその命に従おうとした瞬間、アッラーは息子の代わりに天から羊を与えて捧げさせ、イブラヒムの信仰を称えました。この出来事がイード・アル=アドハーの起源となっています。
- ハッジとの結びつき:イード・アル=アドハーはイスラム教における五行のひとつである「ハッジ(メッカへの巡礼)」の終わりと重なります。世界中から集まった巡礼者たちがメッカで行う巡礼の最終日にあたる重要な祭日です。
- ネパールのムスリムコミュニティ:ネパールのムスリムは人口の約4.5%を占め、主にタライ平原地帯に多く暮らしています。「バクラ・イード」とも呼ばれるこの祭日は、断食明けのイード・アル=フィトルが楽しみと祝宴を重視するのに対し、イード・アル=アドハーはより神聖な宗教的意味合いを持つ祭日として位置づけられています。
- 日程の確認:イード・アル=アドハーの日程は新月(三日月)の観測によって決まるため、前日まで正式な日程が発表されない場合があります。
イード・アル=アドハーの過ごし方
イード・アル=アドハーには、ネパール各地でさまざまな行事が催されます。
- イード礼拝:ムスリムの男性たちは早朝に正装でモスクや広場へ向かい、礼拝と読経を行います。特別なメッセージの中でイブラヒムの伝説が語られ、信仰の大切さが説かれます。
- 犠牲の儀式(クルバーニ):礼拝の後、経済的に余裕のある家庭では羊・ヤギ・牛などの家畜をいけにえとして捧げる「クルバーニ」と呼ばれる儀式が行われます。肉は3等分され、3分の1を家族で食べ、3分の1を親族や友人に贈り、残りの3分の1を貧しい人々に施します。
- 集まりと祝宴:家族や友人が集まり、伝統料理を囲んで喜びを分かち合います。「イード・ムバラク(Eid Mubarak)」という挨拶を交わし、贈り物を交換する習慣もあります。
- 喜捨:イード・アル=アドハーは貧しい人々への施しを重視する祭日でもあります。金銭・食料・衣類などを贈る慈善活動が各地で行われます。
観光・滞在時のアドバイス
イード・アル=アドハーの時期にネパールを訪れる際、知っておくと便利なポイントをまとめました。
- 日程の確認:イード・アル=アドハーの日程は新月(三日月)の観測によって決まるため、前日まで正式な日程が発表されない場合があります。旅行を計画する際は最新の情報を確認してください。
- 公共サービスの確認:国定祝日にあたるため、官公庁や学校は休みとなります。手続きが必要な場合は事前に済ませておくことをおすすめします。
- 5月のネパール観光:5月は雨季が始まる時期にあたります。トレッキングを計画している場合は天候の変化に注意し、雨具の準備をおすすめします。

