ブータンのダサインとは
「ダサイン」(Dassain)は、毎年10月頃に祝われるブータンの国定祝日です。ヒンドゥー教最大の祭りであるダサインは、女神ドゥルガーが悪の象徴である水牛の魔神マヒシャースラを打ち倒したことを祝う祭りです。「善が悪に勝つ」という普遍的なテーマを持ち、ブータン南部のローツァンパ(ネパール系住民)を中心に盛大に祝われます。
ダサインの歴史的背景
ダサインはサンスクリット語で「ヴィジャヤ・ダシャミ」とも呼ばれ、ネパールをはじめ南アジア各地のヒンドゥー教徒が祝う祭りです。
- 女神ドゥルガーの伝説:ヒンドゥー神話では、水牛の魔神マヒシャースラが神々を苦しめていたとされています。神々の力を結集して生まれた女神ドゥルガーが9日間の戦いの末に魔神を討ち滅ぼし、10日目に勝利を収めたとされています。この勝利を祝うのがダサインです。
- ブータンでの位置づけ:1980年にブータン国王によって国定祝日に制定されました。仏教国であるブータンにおいて、ヒンドゥー教の祭りが国定祝日となっているのは、多様な文化・宗教を尊重するブータンの精神を示しています。
- ローツァンパの文化:ブータン南部に住むローツァンパはネパール系の住民で、ダサインは彼らにとって最も重要な祭りのひとつです。
ダサインの過ごし方
ダサインは15日間にわたる祭りですが、国定祝日は主要な日にあたります。
- ティカの儀式:ダサインの中心的な儀式が「ティカ」です。年長者が額に赤い粉(ティカ)を塗り、祝福を与えます。家族が集まり、目上の人から順に祝福を受けるこの儀式は、ダサイン最大の見所です。
- 家族の集まり:多くの人が帰省し、家族や親族と過ごします。豪華な食事を共にしながら絆を深める大切な機会です。
- 寺院への参拝:ドゥルガー女神を祀る寺院では特別な祈祷が行われます。ブータン国王もティンプーのデヴィ・パンチャヤン寺院でヒンドゥー教コミュニティの代表者にティカを授ける伝統があります。
- 新しい衣服:ダサインには新しい衣服を纏う習慣があります。家族全員が新しい服を着て祝うのが伝統的なスタイルです。
観光・滞在時のアドバイス
ダサインの時期にブータンを訪れる際、知っておくと便利なポイントをまとめました。
- 店舗・観光施設の営業:国定祝日のため官公庁や銀行は休みとなります。南部地域では特に多くの店舗が休業する場合があります。
- 10月のブータン観光:10月はブータンで最も過ごしやすい季節のひとつです。雨季が終わり、澄んだ空気と青い空が広がります。ヒマラヤの山々を望む絶好のシーズンでもあります。
- 文化への敬意:ダサインはヒンドゥー教の宗教的な祭りです。寺院を訪れる際は肌を露出しない服装で訪問するなど、文化・宗教への敬意を忘れずに。

