韓国では、グレゴリオ暦(新暦)の1月1日も「신정(シンジョン)」と呼ばれる国民の祝日として広く認識されています。この日は、多くの企業や学校が休みとなり、人々は新しい年の始まりを祝います。
しかし、韓国において新年を祝う上で最も重要視されるのは、やはり旧暦の「설날(ソルラル)」です。旧正月は、家族や親戚が集まり、盛大に伝統的な行事を行う一大イベントです。これに対し、新暦の元日である「신정」は、比較的控えめな祝賀ムードで迎えられるのが特徴です。家族中心の旧正月とは異なり、個人が静かに内省し、新たな年のスタートを意識する日として位置づけられています。
過去1年を振り返り、来るべき1年に向けた抱負を立てる。そんな静かで個人的な過ごし方が、韓国の元日には根付いています。
📜 歴史的背景と祝日の位置づけ
日本統治時代からの継承
韓国における1月1日の祝日としての「신정(新正)」のルーツは、日本統治時代にまで遡ります。当時、日本によって西暦ベースの新年習慣が導入され、それが定着しました。終戦後、大韓民国政府は、この1月1日を「신정」として法定祝日に定め、現在に至るまで多くの企業や学校が休業となります。
旧正月との共存
韓国には、西暦の元日以外にも、伝統的な旧暦の正月「설날(ソルラル)」が存在します。この「설날」こそが、民族大移動が起こるほどの韓国最大のお盆・お正月行事であり、家族の絆を深める重要な機会です。
かつては「신정」の方がより盛んに祝われる時代もありましたが、現在は「설날」が圧倒的に重視され、その影に隠れがちな印象は否めません。しかし、両者が混同されることはほとんどなく、それぞれが異なる意味と過ごし方を持つ祝日として、韓国社会に定着しています。
🎉 現代の過ごし方と主な行事
韓国の元日は、派手なイベントよりも、人々が内省し、新たな気持ちで一年を始めるための時間を過ごすことが多いです。具体的な過ごし方や行事をいくつかご紹介しましょう。
1. 普信閣(ボシンガク)の打鐘(타종)
ソウル市中心部の鍾路(チョンノ)にある「普信閣(ボシンガク)」では、毎年12月31日の深夜、年越しのカウントダウンイベントが開催されます。日付が1月1日に変わる瞬間に合わせ、33回にわたって年越しの鐘が鳴らされる伝統行事が行われます。この打鐘には、新しい年が平安でありますようにという願いが込められており、多くの市民や観光客がその瞬間を見守るために集まります。このイベントはテレビ中継もされ、自宅でその光景を見る人も少なくありません。
2. 初日の出(해돋이)鑑賞
元日の朝には、多くの人々が初日の出(해돋이)を見るために、海沿いの地域や山岳地帯を訪れます。特に、東海岸の東海市や江陵市、釜山の海雲台などは、美しい日の出が見られるスポットとして有名です。山に登って日の出を拝む人も少なくありません。新しい年の太陽が昇るのを見ながら、個人の願い事をしたり、新年の抱負を心に刻んだりするのが一般的です。多くの地域で、初日の出に合わせて特別バスが運行されたり、温かい飲み物が提供されたりすることもあります。
3. 静かな家庭の時間と年越し料理
家族で集まり、おせち料理のような特別に豪華なものを食べる習慣は旧正月ほどではありませんが、元日も家族で静かに食事を囲むのが一般的です。テレビでは年越し特別番組が放送され、それを家族と一緒に見るなど、自宅でくつろいで過ごす家庭が多いです。旧正月には「トックク(떡국)」という餅のスープを食べる習慣がありますが、元日に必ず食べるという特定の料理はあまりありません。家庭によっては、簡単に温かい食事を用意して、静かに新しい年を迎えます。友人と集まってホームパーティーをしたり、カフェでゆっくり過ごしたりする人も増えています。
4. 新年の抱負(새해 다짐)
元日は、自分自身の目標設定や計画を立てるのに適した日と考えられています。多くの人が手帳に新年の目標を書いたり、SNSを通じて新年の挨拶や決意を投稿したりします。健康、勉強、仕事、人間関係など、様々な面で新しい目標を立て、それに向かって努力することを誓う、個人的な内省の日としての側面が強いです。オンラインやオフラインで目標達成をサポートするプログラムに参加したり、友人や家族と目標を共有し合う人もいます。
📝 まとめ
- 祝日名: 신정(新暦の元日)
- 日付: 毎年1月1日
- 文化的意義: 新しい年の始まりを静かに祝い、個人の新年の抱負を考える日
- 主な行事: 普信閣の打鐘、新年の登山、初日の出鑑賞、家族との静かな団らん、新年の抱負設定
韓国の元日は、旧正月のような華やかさはありませんが、人々が自分自身と向き合い、新たな一年への希望を抱くための、大切で静かな一日と言えるでしょう。この日をどのように過ごすかは人それぞれですが、根底には「新しい年を良い年にしたい」という共通の願いがあります。
日本のお正月と似ている点もあれば、異なる点もある韓国の元日。文化の違いを知ることで、より深くその国の魅力に触れることができますね。

